On Line Leak Sealing

 

漏洩補修の勘所

 

 漏洩とは、装置内をコントロール下で移動あるいは滞留している流体が、何らかの欠陥によりコントロールを離れ、装置外に、または大気中に、流出してしまう状態を言います。そこには当然、装置内と装置外を結ぶ道(Pass)が有ります。漏洩補修とは、このPassのどこかにコンパウンド注入のための”堅固”な空間を確保できるか否かに、全てがかかっているといっても言い過ぎではありません。もちろん、そのためには、漏洩位置とPassの形状をなるべく正確に、確認・認識する必要があります。

 一言で言ってしまえば、”漏洩ルートをコンパウンドで遮断する。”と、当たり前の事をいっているように聞こえますが、そうではありません。堅固という条件が非常に重要な意味を持っています。注入空間は、かならず、装置自体の中に見出すか、あるいは装置の一部と外付けの治具で形成されます。

 

@装置構造内に注入空間がある場合の例

A装置を外付け治具で囲う場合の例

 

 外付け治具を必要とせず、漏洩ルート内に注入空間を見出せる、例えば,図@で示したように,ユニオンジョイントや高圧プレッシャーシール型ボンネット、またバルブグランド部のような漏洩補修の場合、その注入空間は非常に狭小で、ゆえにコンパウンドの注入圧を受ける,受圧面積が小さいために、強固な空間であるといえます。したがって、このような対象の漏洩補修は、非常に確実なものとなります。

 それに対し、外付け治具と装置の一部で注入空間が形成される場合は全く事情が異なります。図Aのようなパイプやフランジまたボルテッドボンネットの修理では、確かに外付け治具そのもののはいくらでも高強度の設計をする事が出来ます。しかし、それによって、注入空間そのものの強度が高まるとするのは間違いです。治具とともに空間を形成している装置側の強度は変わらずボトルネックとなるからです。注入空間全体の強度は、外付け治具の強度ではなく、装置の強度によって決まってしまいます。したがって、治具の強度が装置の強度を上回るのは極力避けるべきです。でなければ、コンパウンドの注入時に、何らかの理由で適正以上の注入圧がかかった時に、ダメージを受けるのは、治具ではなく、装置自体になります。治具は装置側のダメージを避けるための安全装置の役割を持たなくてはならないと考えます。

 このような制約があるにもかかわらず、強固な注入空間を確保するためにはどうすればよいのかを考えなければなりません。治具強度の上限が決まっているなら、相対的強度、つまり、受圧面積を極力抑える事でしか堅固な注入空間を得る事は出来ません。コンパウンドの注入量が少ない治具、これが、漏洩補修という目的に最も即した治具ということになります。”何処にどのような注入空間を確保するか?” この答えが漏洩補修の安全と確実性の鍵を握っています。このような治具を設計するためには、専門家の知識と、経験がきっと役に立ちます。

 

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